音はなく静かだ
しんと静まり返っている。
いつもはうるさいくらいの車の音も、今日は聞こえてこない。
真っ暗な部屋。携帯電話の画面だけがぼんやりと光っている。
私はベッドの上で携帯を握りしめていた。
そのまま、天井を見つめる。
何故だろう。
涙が溢れた。
幾筋も流れていく。
こめかみへ流れていく感覚がくすぐったいような気持ち悪いような。
身体をよじって向きを変えると枕に顔をうずめた。
多分、好きなんだと気付いた瞬間だったと思う。それはあまりにも遅過ぎたけど。
辛い過去ばかり持った人なのに、もう“タイムリミット”だなんて。あの人が諦めたようにそれを口にするのがとても悲しかった。